研究概要 |
腺管分離法を用いて、大腸腫瘍のDNA解析を行ない、そのDNA typeをdiploid, Pure aneuploid, multiploid(D+A)の3型に分類した。それぞれにおいて遺伝子解析を行ない、上記のDNA typeがそれぞれ独立したDNA typeであることを明らかにした。 AVM遺伝子はAtaxia-telangiectasiaの原因遺伝子であるが、その機能は主にゲノムの安定性を保つことにある。ATM遺伝子の異常があると、DNAは不安定になりaneuploidを誘発するようになる。そこで、上記のDNAtypeにおける、ATMの位置する11番の長腕のloss of heterozygosity(LOH)の有無を検索した。その結果、multiploidで有意にLOHの頻度が高く、diploidとaneuploidでは低いことが明らかになった。またmulti-ploidのATMのLOHはp53遺伝子変異に相関することも明らかになった(Sugai T, et al. Frequent allelic imbalance at the ATM locus in DNA multiploid colorectal carcinomas. Oncogene;20:6095-6101)。Ki-ras遺伝子においても同様の解析を行ない、Ki-rasでは逆にdiploid、aneuploidでKi-ras遺伝子の変異の頻度が高く、multiploidで低いことが明らかになった(Sugai T, et al.Analysis of Ki-ras gene mutations associated with DNA diploid, aneuploid and multiploid colorectal carcinomas using a crypt isolation technique. Cytometry;46-345-350)。これらのことは上記のDNA typeが互いに独立していることを反映しているものと思われた。
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