研究概要 |
当教室における3cm以下肝癌切除例114例における細動脈数のカウントを行っている。しかし近年の画像診断の進歩により、CTでもhelical CT〜multi slice CT、超音波検査もCO2US〜レボビスト静注超音波等多数の機種がでており画一化的な検討がなかなか困難な状態であり、現在14例のみ通常の肝細胞がんの細動脈数と画像所見との対比を行った。組織分化度は総べて中分化型肝癌で、血行動態が異なっている事が報告されている高分化の肝癌は含まれていない。この画像診断は通常のCTを使用したもので、そのCTと細動脈数との対比では早期濃染を示す症例における細動脈数はそうでないものに比較して多い傾向にあるが、細動脈数が多い症例でも早期濃染の程度が乏しいものもあり、造影剤注入と撮影タイミングのずれによるものが示唆され、今だ多数例でのより客観的な評価ができておらず、来年度はこの点の改善を行う。 次に本研究では同じ3cm以下の通常型肝癌における細動脈の発達と悪性度との比較が重要なポイントである為、悪性度を判定する病理組織学的パラメーターを検索した。この理由は肝癌は切除後に高率に再発してくるが、多中心生発生を来す症例も多く、単純に生存期間の比較だけでは悪性度の判定が困難であるからである。肝癌の腫瘍マーカーや肝癌の肉眼型が悪性度のマーカーとなりうるという臨床的な報告があり、これらの点について病理学的に検討した。68例の3cm以下肝癌におけるAFP, PIVKA-IIの発現を検討し特にAFPを産生する肝癌は、産生しないものに比較して悪性度が高く、PIVKA-IIではそのような傾向は見られないことを報告した。また現時点では肝癌の肉眼型と門脈侵襲及び肝内転移と相関することを検討している。
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