研究概要 |
1.Epstein-Barr virus(EBV)感染と炎症の共同作用によるリンパ腫発生モデルとして、EBVにより自律増殖能を獲得したBリンパ球系細胞株(Lymphoblastoid cell line ; LCL)を、キサンチンとキサンチンオキシダーゼによる活性酸素発生系で繰り返し処理したところ、軟寒天でのコロニー形成能の獲得がみられ、クローンの分離、樹立が可能であった。 2.得られたコロニー形成クローン3クローンと親株のLCLを対象として、細胞周期及びそのチェックポイント(p53およびpRB経路)に関与する遺伝子(2者に加え、サイクリン、サイクリン依存性キナーゼ、サイクリン依存性キナーゼインヒビター;CDKNs)の発現変動、変異の有無を検討した。 (1)蛋白レベルでの発現変動をウエスタンブロットで検討したところ、一部クローンでサイクリンA及びCDK2の発現変化を認めたが、コロニー形成クローンに共通の発現変動は同定できなかった。 (2)p53,pRB,p15,p16,p21のがん抑制遺伝子に関し、遺伝子近傍のマイクロサテライトマーカーを用いたLOH解析でheterozygous deletionの可能性を、またPCRによりhomozygous deletionの有無を検討したが、特定のdeletionの確認には至らなかった。 (3)点突然変異が多く知られているp53について、変異のホットスポット領域を含むエクソン5-8で、direct sequencingにより変異の有無を検索したが、特に変異の誘導の検出には至らなかった。 3.既に樹立してあった膿胸リンパ腫由来細胞株2株について、上記2と同様の検討を加えた。 (1)細胞周期に関与する蛋白の発現レベルを検討したが、共通した発現パターンは認めなかった。 (2)がん抑制遺伝子について、特定のdeletionの確認には至らなかった。 (2)p53の点突然変異の有無を検索したが、特に変異の検出には至らなかった。
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