悪性リンパ腫に特異的な第1染色体転座切断点の解析

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13670206
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 佐藤 均 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70183829)
• キーワード: 1p36転座 / 悪性リンパ腫 / FISH / 遺伝子増幅

研究概要

悪性リンパ腫発症に関わる第1染色体上の転座切断点領域から疾患原因候補遺伝子をクローニングし、その分子機構を明らかにすることを目的として、特に1p36領域と1q増幅領域に注目してFISH法による転座切断点の特定を試みた。このうち1p36領域については細胞遺伝学的レベルで整列化したFISHマーカー物理地図を作製し、腫瘍細胞株5株の1p36転座切断点を同定した。その結果、各細胞株毎に切断点が異なっていることが明らかになった。しかし、SCIDマウス内B細胞性腫瘍細胞株HMS24の1p36切断点はD1S96とD1S989間(物理的距離はこの時点で不明)に存在し、ALL由来B細胞株BALL-1のproximal切断点と一致した。そこで、HMS24株とBALL-1株の転座切断点が共通なのかどうか明らかにするために、この領域をカバーするCEPHメガYAC14クローンを用いた詳細なFISH解析をした結果、転座切断点は細胞遺伝学的レベルで異なっていることが明らかになった。また、この過程でHMS24株においては転座点を含むと思われるYACクローン762B5を特定した。このクローンは、PFGE解析によりそれぞれ660kb、520kb、400kbのゲノム断片を保持するサブクローンとして単離されたので、STSマーカーによる物理地図を作製する一方、FISHシグナルがsplitするかどうかを検討した。この結果とNCBIのEntrez Map Viewを検索(www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/Entrez/)した結果から、STSマーカーD1S1615(1pterから8.4M)からD1S274E(8.95M)までを含む約600kbの範囲内に1p36転座切断点の可能性を狭めることができた。

研究成果

• [文献書誌] Maekawa I.: "Maintenance and Characterization of an Epstein Barr Virus-infected CD56-negative T Cell Lymphoma"Jpn. J. Cancer Res.. 93. 61-69 (2002)
• [文献書誌] Wang P.: "3'-fluorine-substitution in 3'-fluorocarbocyclic oxetanocin a augments the drug's inhibition of HHV-6B propagation in chronically infected cultures"Microbiol. Immunol. 45. 457-466 (2001)
• [文献書誌] Fujino Y.: "Assignment of the feline Fas ligand gene (TNFSF6)to chromosome F1q12-q13 by fluorescence in situ hybridization"Cytogenet. Cell Genet. 94. 92-93 (2001)
• [文献書誌] Yoshida S.: "Assignment of the human dickkopf(Xenopus)homolog 4(DKK4)to chromosome 8p11.2-p11.1 by fluorescence in situ hybridization"Cytogenet. Cell Genet. 94. 88-89 (2001)
• [文献書誌] Sakakibara S.: "RNA-binding protein Musashi2:Developmentally regulated expression in neural precursor cells and subpopulations of neurons in mammalian CNS"J. Neurosci. 21. 8091-8107 (2001)
• [文献書誌] Moriyama M.: "Identification of a novel human anlyrin-repeated protein homologous to CARP"Biochem. Biophys. Res. Comm.. 285. 715-723 (2001)