今年度は、大腸菌の中で発現させ精製したリコンビナント・レプチンを用いて、遺伝的肥満マウスob/obの腹腔内に投与し、投与後6時間、24時間における血中PAI-1量の変化および内臓脂肪組織、皮下脂肪組織、並びに肺組織におけるPAI-1mRNA発現量について検討した。 今回精製したリコンビナント・レプチンが、まず生物活性を保持しているかどうか検討した。300μgを腹腔内に11日間投与し、毎日の体重変化を見たところ、39gあった体重が27gにまで減少した。この体重減少に伴う、PAI-1発現量に対するレプチンの二次的な効果を排除するため、この活性のあるリコンビナント・レプチンを投与後、体重の変化がほとんどない6時間と24時間後に血液サンプルと臓器を採取した。コントロール群には、リコンビナント・レプチンに含まれるのと同量のLPS含むPBSを同量投与した。血中PAI-1量は、遠心後の血漿を用いてELISA法により定量した。またPAI-1mRNA発現量はRNA抽出後、Northern Blot法で定量した。 レプチンを投与したものでは、6時間後にはコントロール群に比べ有意に血中PAI-1値が減少した。24時間後には両群とも、ブランクのレベルまで減少した。これに呼応するように、内臓脂肪組織でのPAI-1mRNA量も変動した。レプチン投与により6時間後には、コントロールに比べ有意に減少した。皮下脂肪においては、6時間、24時間後共にレプチン投与により、PAI-1mRNA発現量の有意な低下が認められた。比較的PAI-1mRNAが多く発現している肺においても、レプチン投与により、6時間、24時間後共にPAI-1mRNA発現量の有意な低下が認められた。 これらの事から、レプチンによるPAI-1遺伝子発現抑制の作用が示唆された。
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