1.PAI-1遺伝子発現調節領域におけるレプチン応答抑制配列の同定 5'-PAI-1遺伝子転写調節領域を順次欠失させた配列とルシフェラーゼ(Luc)レポーター遺伝子を連結したベクターを構築し、これらのレポーターとレプチン発現ベクターを3T3-L1細胞に共トランスフェクションさせ、Luc活性を指標にレプチン応答抑制配列を同定すべく実験を行った。A (-1147〜+75) B (-842〜+75)、C (-514〜+75)、D (-372〜+75)、E (-166〜+75)レポーターベクターのいずれのトランスフェクションでも有意なLuc活性の低下が認められた。これらのことから、-166bpより上流の転写調節領域にある配列が重要であるものと思われる。この領域をさらに細かく欠失させたレポーターベクターを構築中である。 2.レプチン受容体アイソフォームの役割の検討 脂肪細胞には、レプチン受容体のロングフォーム(L.F.)とショートフォーム(S.F.)が存在していることが知られているが、このどちらの型の受容体がPAI-1発現抑制に関わっているのかを検討した。レプチン受容体発現ベクターとレポーター遺伝子とを共トランスフェクションにより発現させ、Luc発現量を指標に抑制に関わる受容体を検討した。レプチン発現ベクター、もしくはS.F.受容体発現ベクター単独のトランスフェクションでは、空ベクターのみをトランスフェクションしたもののLuc活性を100%としたとき、各々、80〜85%にLuc活性が低下した。L.F.受容体発現ベクターをトランスフェクションしたものでは、ほとんどコントロールの値と同じであった。さらに、これらの受容体発現ベクターとレプチン発現ベクターの組み合わせでトランスフェクションしたところ、S.F.+レプチンでは、70〜75%にさらにLuc活性が低下した。予想に反し、L.F.+レプチンの組み合わせでは、180〜200%のLuC活性上昇が認められた。
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