研究概要 |
グリオーシスの発現部位やその程度を観察することにより、神経細胞の異常活動や変性部位を明らかにすることができる。IER脳の病理形態学的研究を行いグリオーシスの部位とその程度を解析することにより、IERにおけるてんかん焦点の同定と、てんかん発作に伴うグリア細胞反応の意義を解明できるという作業仮説に基づき、1)発作発症前期、発作発症期、発作固定期のIER脳における、ミクログリアならびにアストログリアの分布とその程度を免疫組織化学的方法により明らかにし、2)発作焦点の部位の同定を行い、3)てんかん発作発現の際のミクログリアとアストログリアの機能を解明しようとするのが本研究の目的である。 平成13年度は上記の目的のために以下の実験を行なった。イハラ遺伝性てんかんラットの行動を、生後1ヶ月より1ヵ月毎に自動てんかん発作モニター装置で観察し、てんかん発作発現の時期ならびに発作の進展状況を確認した。この観察を基に動物を発作未発症期(生後2ヶ月ごろ)、発作発症初期(生後5ヶ月ごろ)、2群(各群6匹)に分けた。各群の動物について経心的潅流固定を行い脳を取り出し、全脳を2ミリの厚さで連続的に切り出しパラフィンブロックを作成した。対照動物としては月齢を対応させたオス非てんかんウィスターラットを同数用い、同様に脳パラフィンブロックを作成した。以上の実験より発作未発症期、発作発症初期の2群、並びに対照動物の脳パラフィンブロック標本を得ることができた。平成14年度は発作固定期の動物の観察並びに,脳標本の作成を行ない,3群の標本について免疫組織化学を行いグリオーシスの形態学的観察を行なう予定である。
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