研究課題/領域番号 |
13670212
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
天野 殖 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50111886)
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研究分担者 |
鳥居 隆三 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (50106647)
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キーワード | イハラてんかんラット / てんかん発作 / グリオーシス / アストログリア / ミクログリア / 免疫組織化学 |
研究概要 |
グリオーシスの発現部位やその程度を観察することにより、神経細胞の異常活動や変性部位を明らかにすることができる。IER脳の病理形態学的研究を行いグリオーシスの部位とその程度を解析することにより、IERにおけるてんかん焦点の同定と、てんかん発作に伴うグリア細胞反応の意義を解明できるという作業仮説に基づき、1)発作発症前期、発作発症期、発作固定期のIER脳における、ミクログリアならびにアストログリアの分布とその程度を免疫組織化学的方法により明らかにし、2)発作焦点の部位の同定を行い、3)てんかん発作発現の際のミクログリアとアストログリアの機能を解明しようとするのが本研究の目的である。 平成14年度はてんかん発作固定期におけるイハラてんかんラットの行動学的観察を行ない、発作が頻回に起こった動物を同定した。それらの動物並びに月齢を対応させた非てんかん対照ラットについて、脳内グリア細胞の動態について神経病理学的に検索した。平成13年度並びに平成14年度の研究結果より、非てんかん対照ラットではいずれの月齢においても皮質、白質および海馬領域に細長い突起を持つミクログリア、アストログリア細胞が散見されるのみであった。一方IERでは皮質、白質、海馬領域で加齢とともに、且つ発作の伸展に伴ってミクログリア、アストログリア細胞が著明に増数し、海馬において特に増加が強かった。増数するミクログリアでは突起が多く且つ太かった。てんかん発作によりミクログリアが活性化されたと考えられた。神経細胞の変性、萎縮所見は認められないことより、活性化したミクログリア細胞は、ミクログリア自身が産生するサイトカインを介してアストログリアの増生や、神経線維の発芽等の進行性変化に関与しているものと考えられた。
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