ランゲリンはヒト樹状細胞の一つであるランゲルハンス細胞に発現するC型レクチン分子である。先に、ヒトランゲリンの遺伝子配列をもとにマウスランゲリンをコードすると思われるcDNAクローンを得た。これをプローブとしてFISHを行った結果、このcDNAはマウスおよびラット染色体上の6D1-D2、4q33 distal-q34.l proximalにそれぞれマッピングされた。これらの遺伝子座は、ヒト-マウスおよびヒト-ラット染色体比較マップによると、ヒトランゲリン遺伝子座2p13に相当することから、今回クローニングしたcDNAがヒトランゲリンのマウスカウンターパートであることが強く示唆された。またデーターベース解析の結果、ランゲリンの遺伝子構造がヒトとマウス間で良く保存されていることが確かめられた。 次に、ランゲリン抗体によるマウス皮膚の免疫染色を行ったところ、表皮ランゲルハンス細胞に発現が確認された。しかしながら、RT-PCRの結果では真皮層においてもそのmRNAが確認された。以上の結果は、ランゲリン遺伝子の転写と翻訳が異なった制御を受けていることを示唆しており、このことはランゲリン陽性細胞を欠くTGF-β1マウスにおいても低いながらランゲリン遺伝子の転写が確認されたことからも支持されると言える。さらにマウス臓器におけるランゲリンの発現を検討したところ、皮膚のみならず体表及び腸間膜リンパ節、脾臓、胸腺等のリンパ器官に加え、肝臓や肺にも発現が認められた。樹状細胞サブセットにおいては体表リンパ及び脾臓のCD8陽性画分のみに発現が認められた。また、組み換えランゲリン蛋白がマンナンに結合することをin vitroで確認した。以上の結果から、ランゲリンはある種のCD8陽性樹状細胞特有の抗原取り込みレセプターとして働いている可能性が考えられる。
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