研究概要 |
本研究課題本来の目的を達成するためには、現在蓄積されている脾臓の構造に関する知見が極めて不十分であり、特に、種々の免疫担当細胞の移行(trafficking)ルートに関してはほとんど解明されていないことが明らかとなった。このような問題点を踏まえ、まず脾臓の構造の検索、特に3次元的な構成の理解に結びつく検索を行い、それと超多色蛍光イメージング法を結びつけ、理解の精密化を図ることとした。 1走査電鍵上、動脈・静脈に相当するものはあるが、それらは細い管腔が束上になって並走しつつ、分岐しながらやがて細い紐状となり、全体で網目構造を形成する。白脾髄へ流入する動脈は必ずしも中心動脈だけでなく、漏斗状の動脈も関与する。静脈に相当する脈管構造が白脾髄より流出する。 2.組織蛍光免疫法による、脈管系の構造の探索は電顕による知見と一致する。壁内へ移行するリンパ球、マクロファージ、デンドリティックセルが顕著である。 3.リンパ球の移行経路は、marginal sinus-follicle(PALS)-marginal sinus,といったもの以外に、red pulp中の動脈から遊走するものが多い。 4.LPS負荷時、デンドリティックセルはmarginal bridging channelからPALSへ移行する以外に中心動脈を介した経路が存在する。 5.マージナルメタロフィリックマクロファージの前駆細胞は動脈の基部、red pulp中の動脈より遊走し、クラスターを形成しつつ、marginal sinus近傍へ移行しそこでマージナルメタロフィリックマクロファージとなる。
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