研究概要 |
骨格筋の変性・壊死および再生を主病変とする筋ジストロフィーの研究では、Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)のジストロフィン遺伝子をはじめとして、その病因遺伝子が約20個明らかにされている。カベオリン-3遺伝子異常による肢帯型筋ジストロフィー(LGMD1C)の症例が1998年に報告され、カベオリン-3と筋ジストロフィー病態との関連が注目されている。本研究では、研究代表者らがジーンターゲティング法で作成したカベオリン-3欠損マウスと、ジストロフィン欠損のmdxマウスとの交配により、カベオリン-3とジストロフィンとの二重欠損マウスを作成し、両タンパク質の筋ジストロフィー病態への複合的関与を明らかにすることを目的とする。本年度は、mdxマウス♀とカベオリン-3ホモ変異マウス♂との交配で得たF1同士をさらに交配したF2で二重欠損マウスが得られた。しかし、F2では二重欠損および比較する同腹のmdxマウスともに♀,♂それぞれの1/8という低頻度でしか得られない。カベオリン-3ヘテロ変異のmdxマウスF2同士を交配したF3では1/4の頻度で得られるので、今後はF3での解析を予定している。カベオリン-3およびジストロフィンの遺伝子変異は、PCR法により同定した。本年度に得られたF2でのイムノブロットおよび免疫組織化学による予備的な解析において、二重欠損マウスの骨格筋には、ジストロフィンおよびカベオリン-3は共に発現していなかった。またHE染色では、壊死・再生像、中心核筋線維がみられた。F3での詳細な解析を予定している。
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