研究概要 |
(1)人体寄生裂頭条虫症全国症例疫学調査(1882〜2001年) 日本における人体寄生裂頭条虫症症例、日本海裂頭条虫症1,753例、大複殖門条虫症269例、マンソン孤虫症436例、マンソン裂頭条虫成虫寄生例16例について、疫学的寄生虫学的解析を行い、感染動向、感染源、診断、治療、予防対策を明らかにした。 (2)国内症例収集検索調査(2000〜2003) 国内大学、病院の協力を得て日本海裂頭条虫2000年9例、2001年8例、2002年2例,年1例、計20例、大複殖門条虫2000年1例、2001年2例、2002年1例、2003年0例、計4例の収集、同定を行った。また、ガストログラフィンによる駆虫例の駆虫機序について検討した。 (3)渡り鳥寄生状況調査 日本海裂頭条虫の感染源宿主として海鳥が疑われているため、ロシアから斐伊川に飛来してくるキンクロハジロ10羽を検索した。条虫寄生はみられなかった。 (4)外国との共同調査 韓国との共同研究により韓国で発生している人体寄生裂頭条虫症は、日本と同様、日本海裂頭条虫と大複殖門条虫であり、感染源はサクラマス、海産魚のサシミ、オードブルであった。今年度もモンゴル及び中国の感染調査では、感染事例を得ることが出来なかった。ロシアとの共同調査を検討中である。 (5)海洋哺乳類の腸管寄生裂頭条虫調査 全国の水族館36館に回収条虫虫体の検査協力を要請し、6館から条虫虫体を得ることができた。現在、虫種同定を継続中である。 (6)寄生虫考古学的研究 出雲市青木遺跡で発見された弥生時代の人骨2体の骨盤内土壌について寄生虫検出を行ったが、寄生虫卵は認められなかった。 (7)国際研究ネットワークによる人体寄生裂頭条虫症の基礎的・疫学的・生態学的総括を行い、レビュー、論文にまとめた。
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