研究課題/領域番号 |
13670250
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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研究分担者 |
柳 哲雄 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10174541)
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
藤井 茂 関西医科大学, 医学部, 教授 (60144482)
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20180268)
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キーワード | トリパノソーマ / トランスシアリダーゼ / シャガス病 / シアル酸 / 遺伝子ファミリー |
研究概要 |
トランスシアリダーゼ(TS)は寄生性のトリパノソーマ原虫に特徴的に検出される酵素で、糖複合体末端のシアル酸を遊離させるシアリダーゼ活性とともに、そのシアル酸を他の糖鎖末端ガラクトース受容体に転移させるトランスグリコシダーゼ活性も示す。 シャガス病の病原原虫Trypanosoma cruziでは、trypomastigoteで高い活性が検出され、シアル酸を受け取った原虫表面受容体は、原虫の宿主細胞への侵入過程に重要であることが示されてきている。TSは多くの遺伝子ファミリーからなり、その50%以上は酵素活性を示さない生成物を与えるが、それらの役割は明らかになっていない。またこの酵素は原虫表面で働くとともに血流中にも分泌され、種々の宿主細胞と相互作用していることが予測される。昨年度に確立した方法を用いて、活性型、不活性型のTS、あるいはその部分的なフラグメントを量を増やして発現、精製しており、種々の宿主細胞、蛋白質との相互作用、ある種の細胞への活性化や抑制効果、シャガス病の病態との関連へ研究を進めていく。 一方、T.cruzi epimasdgoteのstationary phaseでtrypomastigoteとは異なるTSが発現しているという報告がなされ、我々はその候補遺伝子ファミリーもクローニングしており、両方のTSの組換え体を作成して局在を調べた。原虫のepimastigoteで発現しているTSは膜に局在して培地中に分泌されないと報告されていたのであるが、種々の組換え体を作成して調べたところ、そのタイプのTSも分泌されるという結果が得られた。すなわち、epimastigoteで発現しているTSは分泌されているが酵素活性を示すものはなくて培地中には検出されず、そのstationaly phaseではtrypomastigoteと同じタイプの遺伝子が発現して活性が検出された、と理解することが出来ると考えている。
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