in vivoにおける発癌実験として、ビルハルツ住血吸虫に感染させたマウスおよびゴールデンハムスターを作成し、現在長期感染による影響を引き続き観察している。従来の動物を用いた発癌実験は一般的にラットが主として使用されてきた。その主な理由は実験動物の中でラットが癌化しやすい傾向をもっていることによる。しかしながら、ビルハルツ住血吸虫はラットへはほとんど感染しないため、通常入手できる実験小動物として、今回われわれが用いたマウスおよびゴールデンハムスターを使用せざるをえない状況にあった。マウスは本来発癌実験には適さない実験動物ではあるがビルハルツ住血吸虫の感染性を考慮すれば致し方ない。 in vitroにおける発癌実験としてまず成虫や虫卵等の実験試料入手を目的とした感染動物の作成を行った。ビルハルツ住血吸虫の発癌性は虫卵由来物質に存在する可能性が指摘されている。そのため、ビルハルツ住血吸虫卵を大量に入手する必要があり、上記実験とは別にin vitro実験用試料入手を目的とした感染動物を作成した。また成虫由来物質についても検討を加える目的で成虫の回収もあわせて行った。これら感染動物からビルハルツ住血吸虫の虫卵および成虫を回収し、数日間培養後、培養上清中に分泌される物質について、および成虫あるいは虫卵抽出物質によるAmes Test等によるmutagenisityの検索、あるいは様々な方法によるtumor-promoting activityについては鋭意検討を加える予定である。
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