研究課題/領域番号 |
13670258
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
藤田 修 国立感染症研究所, 獣医科学部, 研究員 (20260276)
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研究分担者 |
野崎 智義 国立感染症研究所, 寄生動物部, 室長 (60198588)
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キーワード | Echinococcus / multilocularis / 抗酸化酵素 / 2-Cys peroxiredoxin / レドックス制御 / 分布 |
研究概要 |
ヒト多包虫症は潜伏期が長いのが特徴で臨床症状が現れてからの治療は困難を極める。その為にも早期診断法・新規治療法の開発につながる寄生虫特異的な分子およびその機能の解析が急務である。 昨年度、我々はスナネズミ由来の多包虫組織から作製したcDNA発現ライブラリーを、多包虫患者血清を用いてスクリーニングし新規タンパク質、ペルオキシレドキシン(Prx)cDNAを得ることができた。このPrxのORFを発現ベクターに挿入し、大腸菌で組換えPrxタンパク質(Em Prx)を作成・精製した。これでウサギに免疫し、得られた抗Prxポリクローナル抗体を用いて、多包条虫の各発育ステージにおけるこのタンパク質の分布を調べた。 その結果、成虫子宮内の形態的に成熟した虫卵の六鈎幼虫膜と六鈎幼虫内部、さらに幼虫シスト内の原頭節外表が特に強陽性を示した。これらは共に次の宿主への感染型であり、この寄生虫にとって重要なステージである。 この抗酸化酵素、Prx、は虫体自身の好気的代謝過程で産生される活性酸素種に対する保護や宿主の免疫担当細胞の侵襲に対する防御、さらの外部環境の変化への対応などの役割を果たしており、酸化的ストレス回避機構(宿主体内での生き残り戦略)の中心的役割を果たしていると思われる。 今回この寄生虫種の生存に関わると考えられる好酸化酵素タンパク質の解析を進めてきたが、得られた知見は寄生体の生物学的特性を利用したワクチン・創薬等の新しい防御技術の開発の為に有益であると思われる。
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