pMG1プラスミドは腸球菌から分離されたゲンタマイシン耐性プラスミドであり、これまで報告されていない接合伝達系を持つ事が示唆されていたのでこの系について研究を行ってきた。平成13年度までの研究でpMG1は接合伝達時に特異的に発現調節を受ける遺伝子を持つ事を明らかにし、さらにpMG1プラスミドの全塩基配列の決定を行った。これまでの結果を受けて平成14年度には以下の4点について明らかになった。 (1)塩基配列にもとづきORFプローブを作成しノーザンハイブリダイゼーションによって転写産物を解析したところtra遺伝子群は複数の転写単位によって成り立っていることがわかった。 (2)一番大きな転写単位をコントロールする遺伝子(ORF20)がありこの遺伝子への挿入によって下流の多くの遺伝子が一切転写されなくなった。また、この遺伝子がtransに働いて下流の1つの転写単位をコントロールしている事が示唆された。さらにこの遺伝子を負に調節している遺伝子の存在も明らかになった。 (3)新たに解析を行ったtra遺伝子群は全て接合伝達に際して転写量が減少した。いくつかのtra遺伝子の解析が残っているが現在までのところtraAのみが一時的ではあるが接合伝達時に転写量が増加する遺伝子として確認されている。 (4)接合伝達能が低下した受容菌突然変異体がTn916による挿入によって単離されていたので位置を決定したところ転写促進因子と相同性のある遺伝子にマップされた。さらに相補性試験を行ったところ相補された事から遺伝子の存在が確かめられた。
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