研究課題/領域番号 |
13670270
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河村 伊久雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (20214695)
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研究分担者 |
光山 正雄 京都大学, 医学研究科, 教授 (10117260)
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キーワード | Mycobacterium bovis BCG / IFN-γ / IL-12 / IL-18 / Toll様レセプター / CD14 / NF-κB |
研究概要 |
1.BCG生菌由来のTh1型サイトカイン産生誘導因子について BCG感染初期に誘導されるIFN-γは、感染抵抗性T細胞の分化に関与する重要な因子である。このIFN-γの主要な産生細胞はNK細胞で、その産生誘導にはBCG刺激で活性化されたマクロファージが産生するIL-12およびIL-18が必須である。一方、これらTh1型サイトカイン産生の強い誘導は、BCG生菌刺激でのみ認められ、死菌ではその活性が著しく低下していることが明らかとなった。これらの結果から、BCG刺激で誘導されるTh1型サイトカイン産生応答は菌体構成成分に対して誘導された反応ではなく、BCG生菌に由来する因子がそれらサイトカインの誘導を惹起したものと考えられた。その生菌特有のTh1型サイトカイン誘導因子についてさらに解析を進めたところ、生菌の培養1日目の上清にIL-12p40誘導能を有するBCG因子が存在することが示された。この活性は55℃、1時間の加熱処理に影響を受けなかったが、proteinase K処理により抑制された。この結果から、BCG生菌が産生する分泌タンパク質がTh1型サイトカインの産生誘導に関与することが示唆された。一方、この培養早期の上清で刺激してもIL-18およびIFN-γ産生は誘導できなかったことから、感染早期のIFN-γ産生には複数のBCG因子が関与することが示唆された。 2.BCG生菌刺激によるTh1型サイトカイン産生誘導機構 BCG早期培養上清のIL-12誘導活性のシグナルがToll様レセプター(TLR)を介しているのか否かを調べるため、HEK293細胞株にTLR2およびTLR4を強制発現させ、BCG培養上清で刺激後のNF-κBの活性化を調べた。その結果TLR2を強制発現させた細胞ではNF-κBの活性化が観察されたが、TLR4を発現させた細胞ではその反応は認められなかった。また、IL-12p40産生は抗CD14抗体で抑制されなかったことから、BCG培養上清のIL-12p40誘導活性のシグナルはCD14非依存的にTLR2を介して細胞内に伝わるものと考えられた。
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