研究概要 |
本研究の目的は、sigB locusに存在するrsbU, rsbVの機能,特にストレス反応,病原性における関与について解析することである。(1)リコンビナントRsbU(rRsbU),リコンビナントRsbV(rRsbV)蛋白を精製した。rsbU, rsbVをPCRにて増幅後、pCRll vectorにサブクローニングしたのち,発現ベクター,pET32aに挿入した(pEM-U002, pEM-V102)。rRsbUおよびrRsbVはHis6-チオレドキシン融合蛋白として精製した。rsbV遺伝子ノックアウト(KO)株を作成するためのプラスミドはpSPT181をベースに作成し、homologous recombination法にて作成中である。(2)EM1001はrsbUの11bp欠損株であるRN6390に、sigB-KO株PC400からtransductionによりsigBをKOした株である。これに欠損のないrsbU-sigBオペロンをシャトルベクターpSPT181を用いてEM1001に形質導入した株(EM1002)とホストであるRN6390に形質導入した株(RN1002)において、heat shock, oxidant stressに対する感受性,病原性を検討した。EM1001はheat shock, oxidant stressに感受性であったが、他の3株はEM1001に比較すると抵抗性であった。次に、以上4株をマウスに投与すると、RN1002において形成される膿瘍のサイズが他の株と比較して小さかった。以上の結果は、rsbUとsigBのimbalanceがストレス反応、病原性を複雑にコントロールしている可能性を示唆する。
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