研究概要 |
本研究において、sigB locus (rsbU, rsbV, rsbW, sigB)に存在するrsbU, rsbVの機能、特にストレス反応、病原性における関与について検討した。rsbV遺伝子ノックアウト(KO)株を作成するため、CAT geneを挿入したrsbV geneをpSPT181に移入しトランスフォームした。その後、熱処理依存性にhomologous recombination法にてCm耐性、Tc感受性菌を選択したが、rsbV KO株はとれなかった。一方、rsbUの11bp欠損株であるRN6390は病原性が低下し、ストレス感受性が亢進している。そこで、RN6390に欠損のないrsbU-sigBオペロンをシャトルベクターpSPT181を用いて形質導入しRN1002を作成した。また、sigB-KO株PC400からtransductionによりsigBをKOした株EM1001に欠損のないrsbU-sigBオペロンをシャトルベクターpSPT181を用いて形質導入した株(EM1002)を作成した。EM1001(sigB-KO)はheat shock, oxidant stressに感受性であったが、RN6390(11-bp deletion in rsbU)はEM1001に比較すると抵抗性であった。次に、以上4株をマウスに皮下に投与し、病原性について検討した。EM1001,EM1002,RN6390では皮下に潰瘍形成を伴った膿瘍形成を認め、サイズは各々370,300,440mm^3であった。一方、RN1002の皮下投与では、潰瘍の形成がみられず、また形成される膿瘍のサイズが他の株と比較して小さかった(50mm^3)。以上より、rsbUの欠損はsigBのストレス反応を部分的に抑制し、また、病原性においてはrsbUとsigBのimbalanceが病原性を複雑にコントロールしている可能性が示唆された。
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