細菌リポ多糖(LPS)に対する生体応答は、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)-6、一酸化窒素(NO)を始めとする多くのメディエーターの産生を介して誘導される。インターフェロン(IFN)-γは免疫系で重要な働きをするサイトカインであり、生体(in vivo)レベルではLPS投与によって血中に検出されているが、細胞(in vitro)レベルではLPSによる誘導機構は明らかにされておらず、LPSメディエーターとしての役割も不明な点が多く残っている。 マウス腹腔細胞をLPSで刺激しメディエーターを誘導する際、抗IFN-γ抗体を添加するとNOの産生は顕著に抑制されるが、TNFおよびIL-6の産生は抑制を受けないことを見出した。抗IFN-γ抗体以外にもLPSメディエーターに対する様々な抗体を用いたところ、抗IL-12抗体と抗IL-18抗体にLPS誘導性NOおよびIFN-γ産生に対する抑制効果が認められ、しかも両者が相乗的に強く抑制効果を発揮することが解った。これらサイトカイン(IFN-γ誘導性サイトカインとして知られている)によって腹腔細胞を刺激すると、やはり相乗的にIFN-γおよびNOの産生を誘導した。この細胞培養系で、マクロファージ系細胞は付着性細胞として培養プレートに残し、非付着性細胞を洗い流すと、LPS刺激に応答したIL-12産生は良かったが、NO産生およびIFN-産生は著しく減弱していた。このマクロファージ系細胞は、IFN-γ誘導性NO産生も良好であった。LPSあるいは(IL-12+IL-18)の刺激によるIFN-γ産生には非付着性細胞の存在が必要であった。これらの結果を考え合わせると、IL-12やIL-18などの中間体がマクロファージによって産生され、それらが非付着性細胞に作用してIFN-γ産生を誘導するという経路がLPSによるIFN-γ産生の主要経路であり、そのIFN-γはマクロファージ系細胞に作用してNO産生の誘導には大きく貢献するが、TNFやIL-6の産生にはほとんど関与しない、ということが明らかになった。
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