研究概要 |
本年度の研究成果は以下のとおりである。 1。市中感染MRSAのSCCmecの全塩基配列の決定。 シカゴ大学から送られてきた市中感染MRSAの中から、代表的な株(CA05,8/6-3P)を選びSCCmecの全塩基配列を決定した。その結果、両菌株ともにtypeII ccr遺伝子を持ち、classB mec complex(IS1272-δmecRI-mecA-IS431複合体)を持つこと、新しいtypeであることが判明した。また、ccr complexとSCCmecの左端末端の間の領域はこれまでに塩基配列を決定したtypeI,II,IIIのSCCmecとも異なること明らかとなった。これらの結果からCA05のSCCmecをtypeIVa、8/6-3PのSCCmecをtypeIVbと命名した。 2。市中感染MRSA CA05株のccr遺伝子をクローニングしたプラスミドを作成してMRSA株に挿入し、SCCmecの脱落をおこすことを確認した。 3。SCCmecの各種の伝達実験を行った。typeI SCCmecをもつNCTC10442株を用いた実験ではSCCmecが伝達された。しかし、接合伝達では、いままで実験した限りではSCCmecの伝達は見られなかった。
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