研究概要 |
LTは種々の抗原と同時に経鼻投与すると粘膜アジュバント活性を示す。我々は既に毒性が低く、水痘ウイルス(VZV)、インフルエンザワクチンに優れた粘膜アジュバント効果を持つ変異毒素を報告してきた。一方LTをマウスに筋肉内投与すると全身の免疫組織、腹腔内投与するとB1細胞に細胞死が起こり、腹腔内γδT細胞が誘導されることを証明している。これは免疫組織の違いにより毒素は異なる作用を持つことを示す。そこで、本研究では各作用と毒素構造の関連を解析し、粘膜アジュバント活性への各細胞の関与の解明と有効アジュバントの開発を目的としている。今回の研究費公布期間内には以下の実験を行い各項目を明らかにする。(a)アジュバント活性の高い変異毒素の作成と実用化への基礎実験を行う。既に毒素活性部位以外の構造がアジュバント活性に関与することを証明している。同部位の変異毒素による解析と、VZV、インフルエンザワクチンで実用化実験を試みているH44A等、無毒なアジュバントを作成する。(b)マウス腹腔内γδT細胞がLTの腹腔内投与で増加した。IL-10産生性、γ1,3,4,6型、δ1,4-6型のγδT細胞が誘導され、GM1受容体に依存性と非依存性が存在していた。今後変異毒素により構造との関連性を解析し、粘膜アジュバント活性へのγδT細胞の関与を明らかにする。(c)LTはマウス腹腔内投与でB1細胞の細胞死を起こす。変異毒素により受容体依存性などB1細胞死とLTの構造との関連性を明らかにし、粘膜アジュバント活性へのB1細胞の関与を明らかにする。(d)毒素の筋肉内注射は、胸腺、脾臓、骨髄などに細胞死を起こす。これはTNFα抗体で阻害される。抗体で阻害される。現在変異毒素により粘膜アジュバント活性との関連性を検索している。
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