本研究の目的は、結核菌感染における結核菌由来の新規の病原因子の同定することである。そのために13年度は病原因子を探索する為の新たな活性測定系を開発すると共にこの系の特性を解析した。また、臨床分離株を含む結核菌の培養・収集を行ない、病原因子がどのような物質であるのか予備的な検索を実施した。 TACO抗体の作製、TACOタンパク質の精製: マウス及びヒトのTACOペプチドフラグメントを合成し、これを用いてモノクロナール抗体を作製した。作製した抗体はマウス及びヒト双方マクロファージ由来TACOを認識できることをウェスタンブロットおよび蛍光顕微鏡で確認した。 結核菌由来の病原因子活性測定の為の細胞培養系の確立: マクロファージ細胞株を用いた感染実験をサルモネラやロドコッカスエクイ等を用いて行なった。後者の実験では、ロドコッカスエクイ強毒株がファゴソームに取り込まれると、ファゴソームが成熟しリソソームと融合することを共焦点蛍光顕微鏡や電子顕微鏡などで観察した。作製したTACO抗体、チュブリン、アクチン、Rab5やRab7といったファゴソームマーカー、LAMPやカテプシンといったリソソームマーカーに対する抗体を用い、ファゴソーム周辺で起きている結核感染によるTACOと細胞骨格タンパク質の相互作用、細胞骨格タンパク質の再構成を形態学的に観察した。また、臨床分離株を含む結核菌の培養・収集を行ない、病原因子がどのような物質であるのか予備的な検索を実施した。
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