研究概要 |
センダイウイルス(SeV)のインターフェロン(IFN)-αシグナル伝達阻害機構の全貌を明らかにした。 1.SeV C蛋白質は、シグナル伝達分子STAT1に結合し、IFNシグナル伝達を阻害する。 GST融合蛋白質を利用したbinding assayにより、STAT1との結合ドメインは、C蛋白質C端およそ半分にあることを明らかにした。 2.STAT2のチロシンリン酸(pY)化抑制がIFN-αシグナル伝達阻害機構の本質である。 IFN-αが細胞膜レセプターに結合すると、STAT2、STAT1がpY化される。pY-STAT1とpY-STAT2は、IRF-9とともに転写因子IFN-stimulated gene factor 3(ISGF3)を形成する。C蛋白質とともに、数種のC mutantを作成した。STAT1結合能をもつC mutant蛋白質のすべてが、種々の程度でSTAT1、STAT2のIFN刺激pY化を阻害した。C mutant蛋白質のIFN-α応答阻害能は、STAT1よりはむしろSTAT2のpY化阻害能に相関した。実際、感染細胞では、長時間刺激IFN-αにより多量のpY-STAT1が蓄積したが、STAT2のpY化は調べられたあらゆる条件下でほぼ完全に阻害された。 3.STAT-2 pY化抑制のプロセスにC-STAT1結合が関わっている。 IFN-α/β receptor複合体を構成するIFNAR1,IFNAR2,JAK1,TYK2,STAT2のいずれの分子もCとのdirectな結合は観察されなかった。さらに、STAT2のpY化抑制はSTAT1の存在により増強した。 4.SeVのIFN-γ応答の阻害機構は、今回明らかにしたIFN-α応答の阻害機構では説明できない。(IFN-γシグナル伝達には、STAT2分子は関わっていないため)
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