研究課題/領域番号 |
13670294
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研究機関 | 福井大学(医学部) |
研究代表者 |
後藤 敏 福井大学, 医学部, 助教授 (00211920)
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研究分担者 |
竹内 健司 福井大学, 医学部, 助手 (40236419)
小松 孝行 福井大学, 医学部, 助手 (20215388)
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キーワード | センダイウイルス / C蛋白質 / アクセサリー蛋白質 / インターフェロン / STAT1 / GAF / GAS / シグナル伝達 |
研究概要 |
センダイウイルス(SeV)C蛋白質は、インターフェロン(IFN)-α刺激によるSTATsのリン酸化に大きな影響を与える。この影響のうち、STAT2のチロシンリン酸(pY)化阻害がIFN-αシグナル伝達阻害機構として本質的であることを昨年明らかにした。本年度は、IFN-γシグナル伝達阻害機構の解明を進めた。C蛋白質は、IFN-γ刺激によるSTAT1のリン酸化を阻害しなかった。転写活性に必要とされるpY化もセリンリン酸化のどちらも起こっていた。STAT1がpY化されるとgamma-activated factor(GAF)と呼ばれるpY-STAT1 dimerが形成され、核に移行しgamma-activated sequence(GAS)siteに結合する。STAT1のpY化後の核への移行もC蛋白質は阻害しなかった。full-sizeのC蛋白質は、pY-STAT1と高分子複合体を形成するため、そのGASプローブとの結合能を測定することはできなかったが、full-sizeのCと同等のIFN-γ応答抑制能をもつC蛋白質C端半分の断片は、pY-STAT1とGASとの結合をin vitroで阻害した。さらに、このC端半分の断片は、STAT1のDNA結合領域ではなく、N端領域に結合することが明らかとなった。以上から、C蛋白質は、STAT1 N端領域との結合を通してGAF-GAS結合を阻害している可能性が示唆された。興味深いことに、STAT1結合能を失った一つのC変異体は、IFN-α応答阻害能を喪失したにも関わらず、IFN-γ応答阻害能をかなりの程度保持していた。このSTAT1結合非依存のIFN-γ応答阻害機構の解明は、今後の新しい課題として残った。
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