研究課題/領域番号 |
13670299
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山田 雅夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40166731)
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研究分担者 |
荒尾 雄二郎 岡山大学, 医学部, 助教授 (40151146)
難波 ひかる 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20273972)
吉田 まり子 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (20144743)
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キーワード | HHV-6 / HHV-7 / 造血幹・前駆細胞 / CD34陽性細胞 / 臍帯血単核球 |
研究概要 |
近年骨髄移植をはじめ各種の造血幹細胞移植が数多く施行されるようになり、移植後の骨髄生着不全あるいは遅延やその他の移植後合併症と、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)などベータヘルペスウイルスの活動性の関連が注目されてきている。本研究の目的は、1)In vitroの実験系として、造血コロニー法を用いて、各種ヘルペスウイルスの造血3系統(赤芽球系、穎粒球・マクロファージ系、巨核球系)への影響を定量的に解析すること、2)造血幹細胞移植後のヘルペスウイルスに対する抗ウイルス療法を確立するための新規抗ヘルペス剤のスクリーニング系をIn vitro造血コロニー法を用いて構築すること、3)造血幹・前駆細胞とヘルペスウイルスの相互関係を、潜伏感染機構も含めて明らかにすることにある。 昨年度は、上記項目1)のIn vitro造血コロニー法に関して、赤芽球系コロニー(BFU-E)、顆粒球・マクロファージ系コロニー(CFU-GM)、ならびに、近年クローニングされたトロンボポイエチンを用いた巨核球系コロニー(CFU-Meg)についての定量的解析法を確立した。私どもの系を用いて、HHV-6およびHHV-7による造血3系統への影響を比較検討した結果、HHV-6は、赤芽球系コロニー(BFU-E)、顆粒球・マクロファージ系コロニー(CFU-GM)、巨核球系コロニー(CFU-Meg)の造血3系において顕著にコロニーの形成を抑制することを見出した。同じベータヘルペスウイルスに属するHHV-7では、このような抑制効果は認められず、HHV-6による血小板造血回復遅延との関連で臨床的に重要な知見と考えられた。 今年度の解析では、臍帯血、成人末消血および骨髄細胞由来の造血前駆細胞であるCD34陽性細胞を分離して、各種ヘルペスウイルスによる造血抑制効果の解析に着手した。まず臍帯血より2種の磁気ビーズにより分離したCD34陽性細胞とHHV-6の相互作用を検討した。Dynabeadsで分離した分画は、MACSbeadsで分離した分画に比べて、強陽性から弱陽性まで広い分布のCD34陽性細胞を含んでいた。さらに、感染CD34陽性細胞に少なくとも2種のHHV-6のIE遺伝子産物を検出した。また、各種造血サイトカイン存在下に培養することにより、分化が進んだCD34陽性細胞のほうが、HHV-6の抑制効果を受けやすいことが示され、HHV-6による造血抑制の標的となる細胞群の特定に重要な知見と考えられた。
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