研究概要 |
ヒトパラインフルエンザ4型ウイルスのLタンパク質の遺伝子解析を80%程度終了した。Reader sequenceとcoding領域はほほ終了し、trailer領域が残るだけとなった。 また、同時進行で行っている、CD98のリンパ球増殖における役割解析の結果については、以下の通りである。CD98は分子量80Kの重鎖(HC)と45Kの軽鎖(LC)からなるヘテロ2量体タンパク質であり、殆どの細胞の膜に存在し、細胞増殖の調節、アミノ酸の輸送、細胞融合、免疫反応などにおいて重要な役割をしている。リンパ球にコンカナバリンA(Con A)などを加え培養すると増殖し、DNA合成、細胞分裂に至る。この過程で、リンパ球表面のCD98HC及びIL-2Rαの発現が増加し、IL-2が産生され、培養液中に放出されることが知られている。しかしながら、CD98HCとIL-2-IL-2Rαの関係については明らかではない。そこで、CD98HC, IL-2-IL-2RαのmAbを用いて両者の関係の解析を行った。CD98HCのmAbはConAによるDNA合成を抑制したが、IL-2の生産、IL-2Rαの発現を抑制しなかった。またIL-2RαのmAbは、DNA合成を抑制したが、CD98HCの発現を抑制しなかった。増殖を引き起こさない低濃度のCon Aで刺激し、IL-2を加えると、DNA合成が引き起こされたが、CD98HCの発現の増加は認められなかった。これらのことから、CD98系とIL-2-IL-2Rα系は、リンパ球増殖において独立の系であると考えられた。
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