マウスの脾臓および小腸のRNAよりcDNAライブラリーを作成し、ヒトgranulysinをプローブとして、ハイブリダイゼーションによってマウスgranulysinクローンの検出を試みた。しかし、cDNAライブラリーから数個の陽性クローンを得て、塩基配列の検討を行ったが、ヒトgranulysinとホモロジーを示すクローンは存在しなかった。そこで、次にRT-PCRによるクローニングを行った。まず、データベースからヒトgranulysinとマウスESTクローン等のホモロジー検索を行ったが、該当するクローンは検出できなかった。PCRプライマーとして、ブタgranulysinとホモロジーが高い塩基配列、およびヒトgranulysinの活性型9kDaの領域をカバーする塩基配列を用いた。テンプレートとして、種々の臓器由来のtotal RNAを用いた。これらのプライマーでは、特異的なPCR産物を増幅できなかった。そこで、非特異的増幅を少なくするため、逆転写反応時のプライマーとして、上記のヒトgranulysin(9kDa)のアンチセンスプライマーを使った。このプライマーを使い、PCR産物を得た。 その塩基配列の一部がヒトgranulysinとホモロジーを示すことが分かった。現在、その配列について検討を行っている。 上記のマウスgranulysinクローニングと平行して、ヒトgranulysinの転写レベルにおける発現制御の解析をヒトマクロファージ系細胞であるTHP-1を使って行った。granulysinのプロモーター領域を段階的に欠失させて、ルシフェラーゼ遺伝子の上流に挿入し、レポーターベクターを構築した。これらをTHP-1にトランスフェクト後、ルシフェラーゼアッセイを行った。その結果、転写因子AP-1がヒトgranulysinのプロモーターを活性化することが明らかとなった。
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