研究課題/領域番号 |
13670330
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
水野 一也 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00219643)
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研究分担者 |
荻本 真美 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (80158609)
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キーワード | チロシンホスファターゼ / アダプター分子 / SHP-1 / BLNK / SLP-65 / SLP-76 / アポトーシス |
研究概要 |
B細胞においてアダプター分子BLNKがSHP-1の基質になっている研究成果をもとに、両分子がBCRシグナルをどのように制御しているのかについて解析を進め、以下の結果を得た (1)WEHI-231細胞に酵素活性を欠失させた変異型SHP-1(SHP-1-C/S)を発現させてBCRを刺激すると、下流のシグナルのうちJNKの活性化が特異的に亢進するとともにアポトーシスの程度が有意に抑制されていた。 (2)BLNKのリン酸化状態の変化とJNKの活性化とを結びつける候補分子として、TRAF2、Vav、Nck、HPK1などが想定される。そこで、BCR刺激後リン酸化されたBLNKと結合するこれら候補分子の量をSHP-1-C/S、野生型SHP-1発現細胞間で比較したところ、NckのみがSHP-1-C/S発現細胞でBLNKとより多く結合していた。SH2領域に変異を導入したNckとBLNKとの結合が認められなかったことから、この結合はNckのSH2領域を介するものであることが判明した。さらに、SHP-1-C/S発現細胞に変異型Nckを共発現させると、BCR刺激に誘導されるJNK活性化の亢進が抑制されていた。 (3)SHP-1-C/S発現細胞WEHI-231にドミナントネガティブ型MKK4あるいは変異型Nckを導入しJNK活性化を抑制した条件でBCRを刺激すると、(1)で認められたアポトーシスの抑制が解除されていた。したがってJNK活性とアポトーシス誘導とが逆相関することが示唆された。 (4)SLP-76は、BLNKと構造上相同性が高く、T細胞特異的に発現するアダプター分子とされておりB細胞における機能は不明である。B細胞におけるSLP-76の役割を検討したところ、種々のB細胞株および正常脾臓B細胞にSLP-76が発現していること、少なくともWEHI-231細胞と成熟B細胞株であるBAL-17においてSLP-76もSHP-1の基質になっていることが確認された。(投稿準備中)
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