研究課題/領域番号 |
13670333
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
垰田 和史 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (90236175)
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研究分担者 |
辻村 裕次 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40311724)
辻村 照代 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20293821)
西山 勝夫 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60077691)
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キーワード | 身体障害者 / 車椅子 / VDT作業 / 腰痛 / 座圧分布 / 筋電図 / 脊髄損傷者 / 脳性麻痺者 |
研究概要 |
本研究は、車椅子使用労働者がVDT作業に従事する場合の作業環境や方法について、人間工学的に検討して改善とその評価を行い、安全衛生管理上の課題を明らかにすることを目的とした。 初年度は身体障害者の労働・生活と身体症状に関する実態を把握するために、県立の身体障害者更正援護施設での訓練修了者から就労可能と考えられる36人(19〜65歳、平均36歳)に対し、質問紙調査を行った。脳性麻痺罹患者(11人、平均31歳)は、7人がADLや「体力筋力」の低下を、4人が転倒の増加等を訴えていた。脊髄損傷者では、褥瘡、排尿障害、やせた、太った、の訴え率が高かった。全体では半数が頸肩腰などにこりや痛みを訴えていた。VDT作業経験者は全体の2/3にのぼり、机・椅子・車椅子に対しての問題指摘があった。また福祉的就労者と一般就労者とでは、労働時間や疲労感に差はなかった。 次年度は、筋骨格系疾患と脊髄損傷者の褥瘡の予防や椅子や机等の不適合の解消をはかることを目的に、通所作業でVDT作業に従事している肢体不自由者を対象に介入による事例検討を行った。作業環境および作業姿勢の観察などにより問題点を抽出し、机・椅子等を個々に作業者に適合させることを試みた。そして、改善前後の自覚症状、表面筋電図と座圧分布を用いてその効果を評価した。脳性麻庫事例(女性、21歳)では、改善前は椅子に浅く腰掛け机に寄りかかるような姿勢をとっており、作業中には両肩の挙上も観察され、肩や背中のこり腰部のだるさを訴えていた。OA椅子から車椅子へ変更して座位安定をはかり、机上面高を下げた。その結果、座位時の姿勢不安感が消失し、肩と腰背部の筋電位の低減、足部接地面から座面への荷重移動が得られた。座圧分布について時間的な安定と坐骨結節部が高い二峰性への移行が認められた。 事例検討を通じて、障害の個別性を考慮した作業環境の改善は身体の負担軽減に効果的であり、特にVDT作業中の姿勢保持や座圧分散に考慮された椅子の役割が重要であることが判明した。
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