地域の在宅高齢者における「生きがいのある、活き生きとした暮らし」の実現要因を明らかにすることを目的とし、熊本県蘇陽町に居住する65歳以上の高齢者673名を対象として自記式の質問紙調査(自覚的健康度、生活満足度、生活習慣、社会活動度)、並びに、明治生命厚生事業団によって開発された生活体力の測定を行った。あらかじめ設定された仮説をもとに3つのモデルを作成し共分散構造分析等を用いて解析した結果、以下のことが確認された。モデル1:住み良さを実感でき、地域でのふれあいの中で、いきいきと社会参加をしながら暮らせることが、「生きがいのある、活き活きとした暮らし」を実現する重要な要因である。モデルの当てはまりの良さを示すGFIは0.919であった。モデル2:「いきいき社会活動」を可能にする要因としては、「社会的支援/役割」と「生活体力」がとりわけ重要であり、加えて、「生活環境」についての評価と「生活聴力」が一定程度関与している(GFI=0.914)。モデル3:「「生活体力」を維持するための要因としては、日頃の「外出」、「趣味」及び「食事/栄養」が重要である(GFI=0.929)。高齢者における「生活体力」の維持は、「いきいき社会活動」に不可欠の要因であり、そして、そのことが地域における「生きがいのある、活き活きとした暮らし」の実現を可能にすることが明らかにされたと考える。 さらに、介入プログラムの効果についても検討を行った。準備因子としての意識面での向上は認められたが、明確な行動変容と生活体力には有意な変化を確認できなかった。介入モデルの内容と共に、評価モデルの見直しが必要と考えられた。
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