ラットの亜鉛欠乏モデルに対して高圧酸素曝露を行い、その影響を引き続いて調べた。また、このモデルに対して、亜鉛を経口摂取させ、その効果についても調べた。 亜鉛欠乏ラットを高圧タンクに入れ、100%酸素を用いて2.8絶対気圧、60分間の高圧曝露を行った。肺破裂および空気塞栓症を起こさぬように注意深く大気圧まで減圧し、ラットの状態を調べた。その後、白血球数および肺組織における変化を調べた。その結果、亜鉛欠乏状態は、高圧酸素の影響(肺の炎症の程度や酸素曝露に対する抵抗性)が通常のラットよりも大であることが知られた。また、亜鉛欠乏ラットに亜鉛添加食を与えたものや、亜鉛欠乏状態の程度が低いものについては、酸素曝露の影響は弱いことも病理組織学的検査結果のみではあるが示唆された。 また、一連の実験に用いることを予定して、亜鉛再供給の影響についても調べたが、高度の亜鉛欠乏状態にあっても比較的短期間(28日間)程度の亜鉛再供給で、ラットは正常な状態に復することも明らかになった。より短期間の亜鉛再供給の効果についても検討を予定している。
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