研究概要 |
1.経毒性物質の神経電位活動障害性に関する研究 本研究には、我々が樹立したハイブリッド株(神経細胞x神経芽細胞種)を用いた。シャーレにガラス板を置き、そこにN18D2細を3x10^5個撒き、48時間培養後、被験物質(エタノール、ニコチン、ヒ素)を添加して24時間曝露した。曝露後直ちに、3,3'-dihexyloxacarbocyanine iodide (DiOC_6)またはbis-(1,3-dibutylbarbituric acid) trimethine oxonol (DiBAC_4(3)で30分間染色し、蛍光光度計にて測定した。また、細胞播種後72時間目に膜電位感受性色素で超生体染色を施し、そこに被験物質を添加し蛍光強度を測定した。尚、対照群の蛍光強度を100%とし、リン酸緩衝液のみの蛍光強度を0%として、化学物質の膜電位活性を算出した。ニコチンは、自律神経系を刺激、のち麻痺させることが知られている。ニコチンは、添加量が10μg/mlで最も高い膜電位活性を示した。軸索変性ニューロパチーを引き起こすアルコールやヒ素は、培養液中濃度が高くなるほど膜電位活性が低くなった。本方法により、神経細胞の発火減少および増強させて神経毒性作用を示す物質を明らかにすることができた。 2.神経毒性物質のアポトーシス誘発性 神経毒性物質をN18D2細胞に曝露後、カスパーゼ染色(蛍光染色法)を行うと、かなり早い時期からアポトーシスが誘発され、染色体異常誘発とは明らかに時間的な差異があった。これらの方法も神経毒性を評価する方法の一つとなろう。 今後、種々の物質について検討していく予定である。
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