プロテインチップを用いた珪肺症患者における免疫学的病態の解析

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13670347
• 研究機関: 川崎医科大学
• 研究代表者: 植木 絢子 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10069031)
• 研究分担者: 友国 晶子 川崎医科大学, 医学部, 助手 (30278957) ; 兵藤 文則 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80069070) ; 大槻 剛巳 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (40160551)
• キーワード: プロテインチップ / 珪肺症 / 自己抗体

研究概要

珪肺症患者の大部分は自己免疫疾患の症状を全く示さず、当然のことながら肺の病変のみが注目されている。しかしこれらの患者群では血清中に高頻度自己抗体が検出され、免疫系の異常が深刻である事を示している。他の免疫疾患にみられる自己抗体同様、珪肺症患者における自己抗体の殆どは対応する抗原が不明であり、自己成分の何に対して強く反応しているのか解析が急がれるところである。又、これら自己抗体が反応して出来た免疫複合体など、健常人とは異なる血清成分の存在も充分考えられる。プロテインチップを用いて血清蛋白を解析する方法は、未だ新しく開発されたばかりであり、その活用も緒についたばかりである。この方法を用いると、極く微量な蛋白成分も質量分析計によって計測可能となる。本研究では、珪肺症患者より提供をうけた血清を用いて、自己抗体の解析を行った。新しく、抗Fasおよび抗caspase-8自己抗体が上記の血清中に検出されたので、抗原を結合させたプロテインチップを用いて血清中に自己抗体が存在することの確認、抗体の分子量測定、抗体サブクラスの推定およびlight chainのκ又はλ鎖の決定などを行った。これらの結果は論文投稿中であり、平成13年度日本免疫学会総会にて発表し、平成14年度産業衛生学会総会にて発表予定である。

研究成果

• [文献書誌] Ueki A: "Different distribution of HLA class II alleles in anti-topoisomerase I autoantibody responders between silicosis and systemic sclerosis paitents, with a common distinct amino acid sequence in the HLA-DQB1 domain"Immunobiol.. 204・4. 458-465 (2001)
• [文献書誌] Ueki A: "Is the anti-topoisomerase I autoantibody response associated with a distinct amino acid sequence in the HLA-DQB1 domain?"Arthritis & Rheumatism. 44・2. 491-492 (2001)
• [文献書誌] Ueki A: "Autoantibodies detectable in the sera of silicosis patients. The relationship between the anti-topoisomerase I antibody response and HLA-DQB1^*0402 allele in Japanese silicosis patients"Sci. Total Environ.. 270. 141-148 (2001)
• [文献書誌] Ueki A: "Biologcal effects of asbestos fibers on Human cells in vitro-especially on lymphocytes and neutriphils"Industrial Health. 39. 84-93 (2001)
• [文献書誌] Tomokuni A: "Detection of anti-topoisomerase I autoantibody in patients with silicosis"Environ. Health Prev. Med.. (In Press). (2002)
• [文献書誌] Guo Z-Q: "Reduced expression of the survivin gene in PBMC from silicosis patients"Kawasaki Med. J.. (In Press). (2002)