本研究ではダイオキシン曝露が酸化ストレスを誘発するか否かを調べることが最終的な課題であるが、そのためにはダイオキシン曝露を適切に評価することが重要である。従って、14年度は血中ダイオキシン濃度に代わる疫学研究に有用なダイオキシン曝露評価方法を開発することが目的のひとつであった。日本において、ダイオキシンに最も曝露する可能性が高いのは清掃工場で働く労働者であるため、本研究、14年度の調査対象は清掃工場労働者とした。調査対象となる工場の概要からどのような仕事が焼却飛灰に曝露する可能性が高いかをあらかじめ調べておいた。そのうえで職歴調査を実施して、炉内及び電気集塵器内の作業、飛灰の固化作業などのあらゆる業務の経験の有無と従事期間を一人一人から聴取した。その職歴調査から焼却飛灰への曝露の可能性と曝露した月数を調べた。調査労働者をそれぞれ焼却飛灰高曝露群、低曝露群、曝露なし群に分類し、各群の一部の人より血液を採取し血中ダイオキシン濃度を測定した。この職歴から評価した焼却飛灰曝露指標が血中ダイオキシン濃度と相関があるか検討した結果、焼却飛灰への曝露の月数が多い労働者ほど血中のダイオキシン濃度が高い傾向にあることを見出した。このように焼却飛灰曝露期間が血中ダイオキシン濃度と相関があったということにより、本研究で行った職歴調査による評価方法をダイオキシン曝露の代替評価法として利用することが可能であるということが証明できた。 この結果を国内においては「産業衛生学会」、海外においては「EUROTOX2002」にて発表を行った。
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