研究概要 |
性,年齢,可動性(大島分類準拠),体動量,骨量,抗てんかん薬・ビタミンD3・カルシウムなどの服用と骨折既往との関連性を検討した.骨量はComputed X-Ray Densitometry(CXD)法を用いて,性・年齢階級別の同年代骨密度平均値との比率(%)を求めた.平成13年度はアクチウォッチによる体動量を,16名の入所者から得た.その他の情報は73名(男性37,女性36)から得た.対象者の平均年齢は男性30.5±12.9年,女性35.6±15.4年である. 主な結果:(1)服薬率については,バルプロ酸ナトリウム51%,フェニトイン30%,カルバマゼピン40%,フェノバルビタール27%,クロナゼパム21%,カルシウム剤27%,ビタミンD_319%であった.(2)骨折は性や抗てんかん薬使用状況による統計学的有意差を認めなかった.(3)骨折既往の有無で,平均年齢に統計学的有意差はみられなかった.(4)行動レベル別の骨折では,「寝たきり」および「歩ける」の割合が高い傾向であったが,統計的有意差はなかった(骨折率は,寝たきり21.9%,坐れる11.1%,歩行障害16.7%,歩ける27.3%).(5)大島分類とアクチウォッチによる体動時間との関連性は有意ではないが,移動性の増加に従い,体動時間も増加した(寝たきり11.0±3.0時間,坐れる12.6±5.0時間,歩行障害,歩ける16.5±2.3時間).(6)どのような要因が骨折に係わるのか,多重ロジスティック回帰分析で骨折の危険因子を検討した.今年度は,アクチウォッチ測定者が18名なので,体動量に関する情報は可動性に関する大島分類を用いた.統計学的に有意な変数として,(a)高齢(1歳増加すると1.1倍),(b)バルプロ酸の使用(13.8倍),(c)骨密度(1%増加で0.92倍).(b)に関しては,薬剤としてバルプロ酸単剤が骨を脆(もろ)くするという報告があり(J Pediatrics 1995 ; 127 : 256-62),今後,検討の余地があると思われる.現状では,(c)骨を丈夫にすることが骨折予防には有効であることがわかったので,薬剤だけでなく,日光浴なども考慮していきたいと考える.
|