研究概要 |
性,年齢,可動性(大島分類準拠)骨量,抗てんかん薬・ビタミンD3・カルシウムなどの服用と骨密度あるいは骨折との関連性を検討した.骨量はCXD法を用いて,性・年齢階級別の同年代骨密度平均値との比率(%)を求めた.平成15年度はアクチウォッチによる体動量を14名の入所者から得たので.平成13年度の16名,平成14年度の18名とあわせて計48名の体動量データが得られた.サンプル周期32Hz,感度0.01G,測定単位1分として,1分あたり10万カウント以上を陽性とした.その他の情報は80名(男性40,女性40)から得た.対象者の平均年齢は男性30.7±12.6年,女性35.7±14.6年である.主な結果は:(1)骨折は性や抗てんかん薬使用状況による統計学的有意差を認めなかった.(2)骨折既往(14名)の有無で,平均年齢に統計学的有意差はみられなかった.(3)行動レベル別の骨折では,「寝たきり」および「歩ける」の割合が高い傾向であったが,統計的有意差はなかった(骨折率は,寝たきり20.5%,坐れる9.5%,歩行障害12.5%,歩ける25.0%).(4)行動レベル4群間でアクチウォッチによる体動時間に有意差を認めたが,その後の多重比較では有意差はなかった.しかし,移動性の向上にともない,体動時間も増加する傾向を認めた(寝たきり10.7時間,坐れる12.8時間,歩行障害14.2時間,歩ける15.4時間).(5)骨密度あるいは骨折に係わる要因を,多重ロジスティック回帰分析で検討した.体動量に関する情報は,可動性に関する大島分類とアクチウォッチを別々に共変量として用いた.大島分類を用いた場合には,統計学的に有意な変数として(a)高齢(1歳増加すると1.1倍),(b)バルプロ酸の使用(16.2倍),(c)骨密度(1%増加で0.92倍).(b)は,バルプロ酸と骨の脆弱性の関係に関する報告があるので(J Pediatrics 1995;127:256-62),それを支持する結果と思われる.さらに,(c)骨密度を上げることが骨折には有効であることがわかった.一方,アクチウォッチを用いた場合では,高齢(1歳増加すると1.2倍)のみ有意であった.
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