研究概要 |
医薬分業による外来患者に対する医薬品投与の安全性確保という観点から、外来患者に対する投与医薬品の相互作用や重複投与をチェックした際に、診療報酬上請求できる保険点数の加算状況を、協力のえられた都内1,506カ所の薬局について調査した。その結果、最近1か月間で「重複投与・相互作用防止加算」を少なくとも1件請求した薬局は、101カ所(全体の6.7%)、請求回数については1回のみが56件、2回のみが32件、3回以上が11件、不明2件であった。請求件数は全部で169件であり、内訳は重複投与防止が132件、相互作用防止が37件であった。全処方せん受付に占める割合は、両者併せて0.009%であった。この結果は、1999年に行われた薬剤師会の調査結果に比べてかなり低い値であった。薬局関係者からのインタビュー調査を加えたところ、この違いは調査方法の違いや診療報酬における重複投与・相互作用防止加算請求時の制約条件による可能性が示唆された。重複投与・相互作用防止加算は、同時に薬剤数を減らした場合にのみ請求でき、別の薬剤に変更した場合には請求できない。したがって診療報酬上の請求件数だけでは、重複投与・相互作用防止の実態を過小評価することになることが明らかになった。同時にこの調査で、診療報酬における現行の重複投与・相互作用防止加算の仕組みは、医薬品の重複投与・相互作用の防止という観点からは改善の余地のあることが示唆された。今後はさらに分析を続けるとともに、処方せん交付ならびに薬剤提供を受けた外来患者を対象とした調査の準備を行う。
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