研究課題/領域番号 |
13670359
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
今本 喜久子 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60028389)
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研究分担者 |
喜多 義邦 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80161462)
高田 政彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10187974)
日浦 美保 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助手 (60324571)
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キーワード | 高齢者 / 転倒・骨折 / 骨指標 / 重心動揺 / 下肢筋力 / 分散分析 |
研究概要 |
4年目継続して75歳以上の高齢者のデータを採取することは、かなり困難であった。研究ボランティアは当初の予定より少ない人数しか確保できなかった上、途中で脱落したボランティアもおり、縦断的研究の難しさを実感した。4年間継続できたのは、在宅高齢者29名(男10名:女19名)と、同年代の施設入所者15名(男3名:女12名)であった。 1.身体的基礎データ(身長・体重・体脂肪率・バイタルサイン)については、4年間に大きな変化は認められなかった。しかし、高齢者ほど身長の短縮が目立った。また、体重変化は小幅にも拘わらず、加齢にともない体脂肪率が高くなる傾向がうかがえた。これらのデータは、数回に分けて学会発表された中で、基礎データとして用いられた。 2.骨量測定は在宅高齢者のみで実施し、施設入所者の場合は残念ながら実施できなかった。在宅高齢者の測定値が4年間に上昇を示した例も3名あった。彼らはバランス感覚・下肢筋力もともによく維持しており、アンケート調査により定期的な運動習慣を持っていた。運動習慣を維持することで骨量を上昇できた高齢者がいる事実は、骨量減少に生活習慣が深く関与することを裏付けた。骨粗鬆症の予防対策は、後期高齢者にまで対象を広げて効果を上げるべきである。骨量については、解剖学会(2003)、コメディカル形態機能学研究会(2003)で学会発表した。 3.重心動揺計による総軌跡長をパラメーターとしたバランス感覚の変化に注目すると、男性では閉眼時に動揺の傾向が著明であり、加齢にともなう視力の低下がバランス感覚に影響することが推測された。女性では身長が低いせいもあってか閉眼時でも安定していた。女性では加齢にともなう視力の悪化は男性ほどバランス感覚に影響しないことが予想された。一方、4年間の女性の下肢筋力の低下は著明であったが、男性では著明な変化は認められず、加齢に伴う筋力の劣化において性差は明確であった。重心動揺と下肢筋力は骨量への影響が明らかで、これらの関係については、論文としてまとめ、滋賀医科大学看護学ジャーナル3巻1号(2005)に発表した。 4.下肢の足背動脈の血流速度については、対象者の加齢に伴う明朗な変化は認められなかった。著しく血流の流速波形が変化した数例で、動脈硬化の進行が推測され、その例では骨量の低下が認められた。この結果については、第17回日本看護研究学会近畿・北陸地方会(京都,2004年3月;第2回コメディカル形態機能学研究会(大津,2004年3月)に発表した。
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