研究課題/領域番号 |
13670360
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岡村 智教 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (00324567)
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研究分担者 |
森山 ゆり 高知県衛生研究所, 主任研究員
門脇 崇 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30324578)
上島 弘嗣 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70144483)
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キーワード | 高感度C反応性蛋白(hs-CRP) / 容積脈波(PWV) / 葉酸 / ビタミンB12 / 喫煙 / アルコール(飲酒) / BMI / 食生活 |
研究概要 |
前年度の検討により、他の危険因子を調整しても、血清高感度C反応性蛋白(hs-CRP)と動脈硬化の指標である容積脈波(PWV)の間に有意な正の関連を認めた。今年度は同じ事業所の男性528人を対象として、ホモシステイン濃度の低下を介して抗酸化作用を有する血清葉酸、ビタミンB12濃度を測定しhs-CRPとの関連を見ると同時に、葉酸、ビタミンB12濃度を規定する生活習慣要因についても検討した(対象者の平均年齢46.4歳)。血中葉酸平均値は15.4nmol/L、ビタミンB12は295pmol/L、CRPは0.46mg/Lであった(葉酸以外はgeometric mean)。このうち3名は採血時に急性感染症を有しており分析から除外した。大豆製品、淡色野菜、緑黄色野菜、海藻、果物の摂取は葉酸と有意な関連を示し、これらの総合的な食品摂取頻度を0〜5点でスコア化した指数と血中葉酸濃度の関連を見ると、それぞれ13.6、14.7、15.2、15.5、17.9、21.7nmo1/Lであり段階的に上昇していた。また種実類と牛乳の摂取はビタミンB12と有意な正の関連を示した。いずれのビタミンとも、喫煙は負の、ビタミンサプリメントの摂取は正の関連を示した。線形重回帰分析で血中葉酸の有意な規定要因と考えられたのは、ビタミンサプリメント(偏回帰係数2.4)・タバコ1箱(-1.5)、食品スコア(0.88)、飲酒1合(0.55)であった。hs-CRPの有意な規定要因は、年齢以外に、BMI(偏回帰係数0.29)、タバコ1箱(0.23)、葉酸濃度(1SD;-0.11)であり、B12は特に関連を認めなかった。以上の結果から、働き盛り男性の動脈硬化のリスクファクターとして、喫煙や肥満に加えて低葉酸血症の重要性が明らかとなり、その原因となる野菜や果物等の摂取不足に注意する必要があると考えられた。
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