研究概要 |
本研究の目的は、わが国の中高齢者に発症する脳卒中および急性心筋梗塞の発症状況を明らかにし、さらに、生命予後および機能予後を疾病別および脳卒中については病型別に比較することにある。さらにこれらの結果から、わが国における脳卒中および急性心筋梗塞の発症者数を将来予測するとともに、脳卒中については後遺障害による寝たきり者数の将来予測を試みることを目的としている。 本年度は、昨年度に引き続いて滋賀県高島郡における循環器疾患(脳卒中および急性心筋梗塞)の罹患状況を把握するために、郡内2医療機関および郡外3医療機関において発症登録を実施した。 現在、1989年1月1日以降の発症を登録すべく調査を継続しているところであり、これまでに脳卒中1735例、急性心筋梗塞317例を登録した。脳卒中の病型別の登録数を示すと、脳梗塞は1151例、脳出血が387例、くも膜下出血が172例、分類不明の脳卒中が25例であり、脳梗塞の登録数は出血性脳卒中(脳出血およびくも膜下出血)に比べて約2倍であった。脳卒中および急性心筋梗塞の登録数を性別に比較すると、脳卒中は男性934例、女性801例で男性に多かった。急性心筋梗塞は男性205例、女性112例で、脳卒中と同様に男性で多かった。また、脳卒中および急性心筋梗塞の平均発症年齢を性別に比較すると、脳卒中では男性が71.3歳、女性が78.4歳であり、心筋梗塞では男性で67.5歳、女性で75.0歳であり、脳卒中および急性心筋梗塞ともに男性で約7歳発症年齢が若いことが明らかとなった。また、本調査で明らかになった年齢階級別の脳卒中罹患率をもとに、我が国の脳卒中有病者数の将来予測を行った。その結果、男女ともに2025年にピークとなり、それぞれ2,153,000人、1,973,000、計4,126,000人となることが予測された。
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