研究課題/領域番号 |
13670363
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高鳥毛 敏雄 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20206775)
|
研究分担者 |
多田羅 浩三 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20107022)
中西 範幸 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90207829)
|
キーワード | 結核 / 大阪都市圏 / 日雇い労働者 / 不安定生活者 / 高罹患 |
研究概要 |
大阪都市圏の結核新登録患者について大阪都市圏について都心地域、都心憐接地域、周辺地域に分けて発生患者の職業や雇用形態などの社会的な属性について分析を行ったところ、都心地域の特定地域において周辺地域とは罹患率の状況に連続性がなく、著しく罹患率が高い地域が存在していた。この地域の発生患者の社会的属性を調査すると日雇い労働者等の不安定生活者の占める割合が著しく高かった。これまでの調査の結果から、これらの集団が高罹患状況である理由として次の2つことが考えられ検証が必要であると考えた。一つは日雇い労働者等の大都市圏の不安定生活者は結核等の発病し働けなくなると大都市部の特定地域に集積してくる状況にあること、二つにはこれらの人々は日雇いであるために要精密検査の者、要治療者と考えられる者も自分で働けると判断している間は働き続けるために治療にいたるまでに重症患者となり感染源として存在している期間が長くその結果多くの感染者を発生させている状況にあるということである。そこで、大阪市の特定地域において現在就労している不安定生活者について要医療と胸部レントゲン検査で判断された人がその後どのような受療行動をとっているのかについてNPO団体の協力を得て追跡調査を行った。その結果、就労時に胸部検診を受検した1246人の中で要治療と判定された要精検者は結核病学会分類でA_1の者が12名(1.0%)、C_1の者が55人(4.4%)いた。この有病率は人口10万人当たり5400と極めて高い状況にあった。検診後の勧奨により精密検査を受け結核治療に結びついたのは5名のみであった。再度他の検診を受検し結核と診断され治療となった者6名であった。残りの56名は精密検査に至っていなかった。これらのことは検診に受診し要治療と判断され者においても就労し続けている者が少なくない状況にあることが明らかとなった。今後、患者の結核菌株の分析も行い、患者の集積のためか、集団感染のために高罹患状況が続いているのかについて検討していく予定である。
|