研究課題/領域番号 |
13670372
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
柴田 義貞 長崎大学, 医学部, 教授 (40010954)
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研究分担者 |
本田 純久 長崎大学, 医学部, 助手 (90244053)
中根 允文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
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キーワード | チェルノブイリ / 精神身体的影響 / General Health Questionnaire / Composite International Diagnostic Interview / Receiver Operating Characteristics / 国際研究者交流 / ウクライナ |
研究概要 |
チェルノブイリ原発の周辺地域からキエフ市に避難した子供の身体および精神的状態ならびに社会的状況を測定し、放射線被曝事故の与える精神身体的影響の大きさを明らかにすることを研究目的とする。ウクライナ放射線医学研究所小児保健疫学研究室が1987年から追跡調査している、プリピャチ市からキエフ市に避難してきた子供を含む約3,000人の検診データを分析するとともに、青春期に達した約1,000人の避難児に対して実施されたGeneral Health Quecstionnaireの12項目版(GHQ-12)を用いた精神医学的障害のスクリーニング結果を分析した。さらに、精神医学的障害をスクリーニングする尺度としてのGHQ-12の有効性についても検討し、以下の成果を得た。 1.健常避難児の割合は、1987年の31%から年々減少し、1999年には5%にまで低下していた。 2.避難児はウクライナの同年齢の一般児童に比べ、胃腸障害の頻度は6.8倍高く、心臓血管障害、神経系疾患および免疫系疾患の頻度は、それぞれ5.9倍、7.1倍、5.1倍高かった。 3.GHQ-12を用いた精神医学的障害のスクリーニングを受けた子供のうち、32人(3.4%)は神経衰弱症と診断されたが、その頻度はGHQ-12の質問2「いつも緊張していますか」および質問8「全般的にまあ満足していますか」と強く関連していた(P<0.001)。 4.長崎市内の内科外来の受診者を対象に行ったGHQ-12による1次調査と、その約20%を対象に行った精神神経科医師による2次調査の結果から、GHQ-12の各質問について、最初の二つの選択肢を選んだ場合は0、後の二つを選んだ場合は1と2値化して、総得点が4点以上の場合に、精神神経科医師による精神医学的障害の診断を行うのが、GHQ-12を用いた精神医学的障害のスクリーニングとして最適であるとの結論に達した。
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