研究課題/領域番号 |
13670375
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
名嘉 幸一 琉球大学, 医学部, 教授 (90117581)
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研究分担者 |
渡部 直樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (40202428)
和氣 則江 琉球大学, 医学部, 助手 (90315474)
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キーワード | 高齢者 / 自殺 / 生きがい / 長寿 / 仰うつ / メンタルヘルス / ソーシャルサポート |
研究概要 |
【はじめに】本年度は自殺多発地帯の秋田県由利町にて自殺の促進要因を検討する調査を行なった。 【対象と方法】対象は由利町に住む65歳以上の高齢者で男性689人、女性950人の合計1639人で、方法は留置法である。調査期間は平成13年11月14日〜11月30日で、回収数は1425票(86.9%)であった。 【結果】(1)秋田県由利町の高齢者の特徴(ア)3世代同居は47%で、また、子供と同居を肯定する者は、86.7%と高かった。(イ)男性の50.4%は毎晩飲酒をしていた。(ウ)講中に加入している者が47.3%と高かった。(2)高齢女性の健康、心理状態(ア)睡眠は良好群が男性65.5%に対し女性は47.4%、通院率は男性74.6%に対し女性81.6%と悪かった。(イ)老研式活動能力指標は、13項目中10項目で女性は有意に低かった。(ウ)PGCモラールスケールの平均得点は男性11.23点に対し女性は9.75点と著しく低かった。(工)ソーシャルサポートは提供サポートが女性において加齢と共に有意に低下していた。(オ)ストレス対処行動で睡眠補助剤(睡眠薬や精神安定剤)の使用は男性13名に対し女性は33名と高かった。 【考察】秋田県由利町では平成元年〜12年に自殺が62件あったがそのうち32人(51.6%)は65歳以上の高齢者である。特に平成元〜6年の6年間では高齢女性の自殺が17件もあった。今回の調査では通院率やIADL、ストレス対処行動などで高齢女性の健康、心理状態が悪いことが明らかになった。特にPGCモラール(主観的幸福感)は全国の女性平均得点は11.6点(杉澤1994)に比べても極めて低い結果となった。農村の女性の地位の低さが現れた形となった。
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