研究課題/領域番号 |
13670375
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
名嘉 幸一 琉球大学, 医学部, 教授 (90117581)
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研究分担者 |
渡辺 直樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (40202428)
和氣 則江 琉球大学, 医学部, 助手 (90315474)
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キーワード | 高齢者 / 自殺 / 生きがい / 長寿 / 抑うつ / メンタルヘルス / ソーシャルサポート |
研究概要 |
平成13年度秋田県由利町における調査に続いて、平成14年度は沖縄県本部町において調査を行った。(調査期間:平成14年2月25日〜3月20日) 対象者は主に本部町社会福祉協議会在宅介護支援センターが行っているミニデイサービスに登録されている65歳以上の高齢者とし、同町社会福祉協議会の全面的協力の下に行われた。 その結果160名の在宅高齢者から調査データが得られた。調査結果を要約すると以下のようになる。 1)本部町高齢者の生活形態は、秋田県由利町と比べて独居が25%と高いものの、別居子や友人・知人、隣近所との交流頻度は高い。 2)CES-D(抑うつ評価尺度)による抑うつ得点は全国の調査と比べて低い。「抑うつ得点」は女性では「糖尿病」や「足が痛い」などの慢性疾患の有無と関連がみられ、また友人・知人、隣近所との交流やこづかいの満足度、奉仕活動への参加などは抑うつ感の低下と関連していることが示唆された。 3)何かあったときに地元のshamanユタに相談する人が39.4%で、特に前期高齢者では56%の人がユタへ行くと答えていた。 ユタへの相談内容は年頭の運勢判断から本人や家族の病気やケガ、心身の不調、家族の結婚や受験、先祖への供養儀礼、ウグワン(祈願)、鎮魂や抜魂(霊)儀礼、夢判断、土地や財産の管理等と多岐にわたることが推察された。 一方ユタとの関わりに代表されるような沖縄の伝統的習慣や祖先供養などは中高年女性のモラールを高め、さらに死者儀礼にみられるタブーなどは、沖縄の高齢者、とりわけ高齢女性の自殺について一定の抑止的効果をもたらしているのではないかと推察された。
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