研究課題/領域番号 |
13670391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
山田 裕一 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70158228)
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研究分担者 |
釣谷 伊希子 金沢医科大学, 医学部, 講師 (30159040)
本多 隆文 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60097441)
石崎 昌夫 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (10184516)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 代謝性症候群 / 肥満 / 飲酒 / 血清gamma-GT / HOMA-IR / HOMA-BC / 産業保健 |
研究概要 |
本研究は第1に、労働者での体重増加と肥満の実態、意義、労働要因、対策についての文献調査、第2に少量飲酒が代謝性症候群(metabolic syndrome)の発症を抑制するという説、第3に飲酒による高血圧発症がインスリン抵抗性増大に関連するとの説についての検証とからなる。 第1に肥満は、最近では低所得者などの低い社会階層に多い。人生や仕事への不満足、不健康な生活習慣がその原因となる。長時間労働、残業、交代性勤務が体重増加やウェスト周囲長の増加に関連する。過重な労働負担に対する過食、静的な余暇、過量飲酒、喫煙のためと考えられる。肥満対策を立てる上でウェスト周囲長の測定が重要で、標準化された測定法を早急に確立する必要がある。 第2の研究は中年労働者男女約4千人で行われた。男性は4分の3、女性は1割が飲酒習慣をもつ。高血圧、耐糖能異常、高中性脂肪血症、低HDL-コレステロール血症の出現頻度を非飲酒者、少量飲酒者、過量飲酒者の3群間で比較したが、男の高血圧と低HDL-コレステロール血症以外に有意差はなかった。少量飲酒は代謝性症候群の発症を抑制しない。一方、血清gamma-glutamyl transferase(GGT)上昇を示す者は、男で高血圧、耐糖能異常、高中性脂肪血症、女で高中性脂肪血症が有意(P<0.05)に高かった。少量飲酒でも、血清GGT上昇を示す者では、代謝性症候群の発症リスクを高める。 第3の対象は中年健常男性で、飲酒量の増加にともない空腹時インスリンが低下した。血糖は1日60ml以上の飲酒者で高値を示した。その結果、飲酒者のHOMA-IRとHOMA-BCがともに低値を示した。一方、飲酒者においてもHOMA-IRが高いほど血圧が高く、血清GGTの中等度上昇がHOMA-IR上昇と、高度の血清GGT上昇はHOMA-BC低下と強く関連した。飲酒者で見られる血清GGTと血圧の関連は、脂肪肝の進展にともなうインスリン、糖代謝の変化とインスリン抵抗性の増大を反映している可能性がある。
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