職場の喫煙対策が喫煙行動に及ぼす影響を評価するため、職員数約1万人の市役所において、無作為に選んだ約3000名を対象に、無記名自記式による質問紙調査を実施した。3年前の調査では、分煙が進んでいる職場にいる喫煙者は、緩やかな対策を実施している職場の喫煙者に比べて喫煙本数が少ないことや、喫煙依存度が低下していることを示唆する結果を報告したが、今回の調査結果を予備的に解析したところ、そのような差は認められなかった。本調査の解析方針および結果の解釈について海外の共同研究者と討議するため、フィンランド・スウェーデンを訪ねた。分煙がどのくらい順守されているか、また残業を含む職務ストレスの影響など多要因を考慮した解析を進める必要性や、過去の調査データと対比した解析の必要性について助言を得た。さらに、上記の調査とは別途に、中規模自治体3カ所(総計約800名)の協力を得て、職場の喫煙対策および個人の生活習慣に関する調査を実施した。この調査データは、次年度に、過去3年分の健康診断データと結合することで、職場の分煙度と喫煙者の喫煙行動の変化について、職場のストレスなどを調整した上で、経年的に観察することをめざす。データリンケージを実施するため、生活調査票は記名式としたが、その前書きに、研究を目的としたデータの利用を行うこと、および個人データは研究者が保管管理し、目的外には使用しない旨について明記した。ほぼ100%の対象者から、所属情報を含め、回答を得ることができた。
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