研究概要 |
研究初年度(平成13年)に,N村の65歳以上の全住民1383名の内,本研究への参加に同意した1036名に平成14年度の研究への参加を募った.本研究の説明の上,参加に同意した895名に対し,留め置き調査にて,既往歴,現病歴,服薬状況,食品摂取頻度,老研式活動能力指標,飲酒・喫煙状況,労働状況,運動習慣等に関する現況を把握した.また,会場招待型の総合健康調査を実施した.総合健康調査では,体格,体脂肪率を測定し,内部および外部精度管理を実施している検査機関にて随時静脈血の血清総コレステロール(TC)およびHDLコレステロール(HDL),血清アルブミンを測定した.初年度からの1年間の血清コレステロール値の変化量の関連要因を一般線形モデルにて検討した.また,1年間の高次生活機能の変化と初年度の血清コレステロールとの関連を一般線形モデルおよび多重ロジスティックモデルを用いて検討した.TCは性別に平成13年度の値の四分位で群別化し(男:<154,154〜173,174〜193,194mg/dL≦,女:<181,182〜199,200〜219,220mg/dL≦)検討した.平成13年度の研究にてTCは,年齢,血圧,BMI,体脂肪率,血清アルブミンなどの既知の総死亡の危険因子と有意に関連していることが判明したため,これらを調整要因としてモデルに投入した.TCは,1年間で男性で2.2mg/dl,女性で1.7mg/dlわずかではあるが有意に増加したが,年齢は負に関連していた(B=-0.74).また初年度のTCレベルが低いほどTCの増加傾向は大きかった.老研式活動能力指標からみた高次生活機能は,年齢が高くなるほど,1年間の減少傾向が大きかった(B=-0.076)が,初年度のTCレベルとの関連は認めなかった.また,横断的に見てもTCと老研式活動能力指標得点の間には有意な関連を認めなかった.TCレベルは総死亡には関連しているが高次生活機能の変化との関連はないことが示唆された.
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