検屍における凍死事例152例、解剖における凍死事例69例の合計221例について法医病態学研究と診断確立のため以下の研究を行った。 1)左右心臓血の色調差 総事例数221例中左右心臓血の採取が行われたのは128例であった。その内訳は検屍152例中63例、解剖事例69例中65例である。●色調差がみれらたのは検屍例48/63(76.2%)、解剖例62/65(95.4%)であった。 2)第1度凍傷(紅斑) 175例中84例(男性43例、女性41例)で認められ全体の48%であった。 3)胃・十二指腸粘膜下出血(Wischnewski斑) 解剖例69例中34例(男性16例、女性18例)、49.3%に認められた。 4)矛盾脱衣(Paradoxical undressing) 矛盾脱衣は221例中男性33例、女性12例の計45例で認められ、全体の20.4%であった。 5)アルコールの関与 アルコール濃度測定は検屍例120例中42例で測定が行われ20例で検出された。解剖例50例中38例で測定され19例に検出された。合計170例中39例の22.9%に検出された。 6)薬毒物の関与 凍死例170例中21例(検屍例4例、解剖例17例)に検出を試み7例に検出された。検出された薬物は、レボメプロマジン(精神神経剤)、フルラゼパム、ブロムワレリル尿素、ブロチゾラム、三環系抗うつ薬であった。 7)各臓器の細胞内熱ショック蛋白(ubiquitin蛋白)の動態について剖検例20例について肝臓、腎臓、肺、心臓、膵臓、脾臓、大脳、小脳の各臓器についてubiquitin蛋白の存在を調べたところ、肝臓の胆管上皮、腎臓の尿細管に多くの出現をみた。
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