臍帯血と成人血の糖脂質成分の違いを、それぞれの血漿および血球から抽出して検討した。 TLC分析においては糖脂質をorcinol試薬で発色させて比較した。ABO式血液型、Lewis式血液型に関係なく、臍帯血と成人血の血漿糖脂質では、両者とも大きくは3本のバンド群が、赤血球糖脂質では5-6本のバンドが検出された。しかし、血漿において臍帯血ではRf値の高いバンドがわずかにしか検出されなかった。このバンド成分が成人血に比較し少ないのではないかと考えられた。赤血球では、血漿糖脂質で検出されない原点にバンドが検出されたが、臍帯血と成人血で大きな違いは見られなかった。TLC展開後immunoblottingを行った。biotin化したそれぞれanti-Le^a、anti-Le^bおよびanti-Ulex europeus UEA1と反応させた。臍帯血と成人血においてanti-Le^aおよびanti-Le^bとの反応に差異は見られなかった。anti-UEA1との反応では両者にバンド数の差があり、成人血の方がRf値の低い位置に更に2本バンドが出現した。しかし、anti-UEAでのバンドはanti-Le^aやanti-Le^bで検出されたものとよく似た位置にあり、これら3つの抗体はcross反応すると考えられた。糖鎖については、ホーネンの4-アミノ安息香酸オクチルエステル化キットを用いて糖鎖の長さを、また、4-アミノ安息香酸エチルエステル化キットを用いて糖組成をHPLC分析にて検討した。成人血漿では、main peakはoligomer 1、2で4のところにもpeakが検出された。臍帯血血漿では、main peakはoligomer 2でoligomer数の大きな位置にもpeakが見られた。血球では両者とも、main peakは1、2であったが瞬帯血の方が、長い糖鎖成分が存在すると思われた。糖組成は臍帯血、成人血ともGalとGlcが主であった。また両者とも血球成分には更にGalNAcが検出された。それらの成分の分布比は、成人血漿ではGlcがGalに比較してかなり高かったが、血球では臍帯血、成人血ともほぼ同程度であった。
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